君は僕を忘れる

「あなたは過去を切りすぎ」
と両親にしかられた。私はあまり頭が良くない人なので、多くのこと(しかも大切なこと)を覚えていられない。中学時代の担任の顔も、大好きだった先生も、いったいそこでなにがあったのかも。これはきっと頭の中でいらないもの、として扱われているからだろうな、と思う。数ヶ月前まできちんと思い出せていたはずの、高校時代の人の顔も思い出せない。おかしい。本当におかしい。だって、幼稚園のときから、ずっと好きだった人の顔も、高校時代、手をつないで帰ったことも、思い出すことができなくなるんだよ。
記憶は思い出ではないけど、やっぱり思い出は美しくあっていたいと思う。一緒に教室で、話した中学時代のこと。遠い駅までわざわざ行ったこと。思い出ですらなくなる。そういう幸せな思い出とか、記憶よりも、たくさんされた嫌なこと、痛かったこと、心を押し殺していたときの記憶のほうが、鮮明に思い出される。こころを、押し殺していたからこそ、なのかもしれない。
だから、きっと、いまのみんなのことはきっと忘れない