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シシリアンキスとさみしさとお酒

パパのつくるシシリアンキスは「倒れそうに甘くて病みつきになる味」だったそうだ。グラスの液体はとろりとした琥珀色で、「午後の戸外の飲み物として、あんなに幸福なものはない」らしい

江國香織 神様のボート より。

 

初めてシシリアンキスを飲んだバーが違うお店になっていた。ふわっとした椅子に座って、窓辺で、霙から雪にかわっていったり、逆にまた霙に戻って行ったり、人が絶えない傘でカラフルな往来を見ながら飲んでいた。

 

久しぶりにバーに行きたいな。ひっそりと。

 

人とお酒を飲むのも大好き。ビールを重ねてほかのサワーとか飲んで、みんなでおいしいおつまみを頼んで、から揚げも食べて、笑いながら思い出話もこれからの話も近況報告も下世話な話もバカな話もして最後に何かで締めて、笑って。

次の日飲みすぎちゃったかな、ってベッドの中で後悔しつつも思いだして心が温かくなって、思い出し笑いができるような。

 

シシリアンキスは本当に小説に書いてある通り、「倒れそうに甘くて」歯がいたくなるほどだった。サザンカンフォートとアマレットを混ぜたカクテル。甘い。

甘いけど少しずつ少しずつ飲み進めていく感じとアルコール度数がそのまま来る感じが好き。少しずつ胸があつくなってきてさみしさが増す。

「午後の戸外の飲み物」とは決して思わない。私の中ではくらいお店の中で、深夜外を見ながら飲むもので。なんとなくだけど、好きなお酒は思い出をうつす。と考える。

 

飲んだ時の記憶。幸せな記憶だけじゃないけど、さみしかったことも、辛かったことも、それを混ぜてカクテルにして私は飲みこみたい。本当にロングタイプのカクテルになりそう。歯が溶けてしまいそうなくらい甘いカクテルと一緒に飲みこんでしまいたいよ。