呪いのような片思い

あまりにも身勝手な片思いをしていた。
彼女は眩しいくらい自由に生きていて、わたしは彼女にできるだけ近づきたくて彼女が上京した時に恋人と食べたであろうバターをたっぷり使ったオムライスや、古めかしいラブホテルのことをぼんやりと考えた。
おかしなことに、彼女が恋人とセックスをしているのに変な、やきもちのような気持ちは抱かなかった。それくらい彼女は自然と周りと男性に好かれ、振られ、そして新しい恋人を作っていった。

会ったことはないけど、痩せっぽちで、自傷癖があり、そして美しい彼女が好きだった。


ある年の初詣の時に、彼女に電話したことがある。
わたしは彼女の一番になりたかった。
それがただ、新年一番先に着信をのこしただけでも、それでよかった。
昔好きだった男の子が配っていた甘酒も、その子からの笑顔もどうでもいいくらい、そして彼女が新年誰と過ごしているかなんて、どうでもよかった。今思うと、すごい身勝手な電話だ。
なんの形でもいい、彼女の記憶にわたしが刻まれればいいと思った。


結局これも小さなラブレター、そして懺悔みたいなものなんだよな、って思ってしまう。
ただ、この時期になるとその初詣の記憶を絶対に思い出してしまう。
あまりにも身勝手だったから呪いなのかもしれない。
新年の挨拶をすると通信会社が混むからやめたほうがいいというアナウンスを無視して、小さな携帯電話に灯った彼女の名前と携帯番号。小さな神社の手水舎の横から見た焚き火のあかり、そして白い息。

ただ、そのとき電話で話したかどうかは覚えていない。
彼女が幸せでいますように。

そして皆様、良いお年を。