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私が育った街には、かつて映画館がありました。

そこでなんの映画を見たかは覚えていませんが、私が育った町には映画館がありました。

多分そこで見たのは実写であったと思います。家が経営している佃煮屋から、大通りを背にしてまっすぐに歩いていくとその映画館がありました。歩く距離は、5分もかからない、本当に近い距離。

映画を見る、という事自体が、わたしには大人っぽく感じられ、なんだかこそばゆい気持ちになったのを覚えています。
それが、私の一番古い記憶。

さて、ここまで、はてな今週のお題「一番古い記憶」について書いているのですが、一番古い記憶が映画館、というのはいささか不思議だな。と思う方もいるかともいます。

実際、私が子供のころからいままで、「家が経営している佃煮屋から、大通りを背にしてまっすぐにあるいていった場所」には駐車場があり、夏休みの早朝、その駐車場の近くで私はラジオ体操をし、スタンプを押してもらい、近くの駄菓子屋できなこ棒を買ったりしていたのです。
そこには映画館なんてない。
私が覚えている、一番最初に行った映画はドラえもんで、それを見たのは車でつれていってもらったジャスコ、現在イオンに入っていた映画館なんです。
映画館の中の空気がこもっており、中で食事をとる人もいたので、異様なにおいだったのを覚えています。

なら、その家の近所の映画館とは何なのだ、ただの夢か。思いこみか。とずっと思っていたのですがどうしても「映画館があった」という記憶だけがはっきりと残っていて、駐車場がある事自体が、自然なんですけど、見たまま駐車場なんですけどどうしても違和感があって。
あるとき、父に聞いてみたんです。

「ねえ昔、この道を歩いて行ったところに映画館があったよね」

そう聞いた私を見て、父は驚いた顔をして「あすなが産まれる前にはあったよ」と教えてくれました。歩いていた道が、かつて「映画館通り」と呼ばれていたことも。
今ネットを調べても、詳しくは出てきませんがその映画館では『高校三年生』が上映されていた、ということが書かれたブログがありました。1963年公開の映画、私が産まれる20年近く前の映画。私が産まれる、20年前にはあった映画館。そして見た、実写の映画。一体誰の記憶なのか。

そういえば、私に顔がよく似た、そして若いうちに亡くなってしまった大叔母がいることも聞きました。同じ制服をきた、大叔母の記憶が私に入っているのかなんなのか。

ただ、私のなかの一番古い記憶は、それです。


私が育った町には、かつて映画館がありました。
私が、私なのか、大叔母なのかは、自分でもわからない。


今週のお題「一番古い記憶」